令和7年版観光白書について
世界の観光の動向
2023年の「外国人旅行者受入数ランキング」において、日本(2,510万人)は世界15位(アジアで2位)。
世界観光機関(UN Tourism)によると、2024年の国際観光客数は14億4,500万人(前年比10.7%増、2019年比1.3%減)となり、コロナ前の2019年水準まで回復。
日本の観光の動向
2024年の訪日外国人旅行者数は、3,687万人(2019年比15.6%増)と過去最高。
国籍・地域別内訳をみると、韓国が最も多く、次いで中国、台湾、米国、香港の順。
2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1,257億円(2019年比68.8%増)と過去最高。
国籍・地域別内訳をみると、中国が最も大きく、次いで台湾、韓国、米国、香港の順
2024年の日本人の国内延べ旅行者数は5.4億万人(2019年比8.2%減)とコロナ前の9割程度に回復。
日本人国内旅行消費額は25.1兆円(2019年比14.5%増)と過去最高。
出国日本人数は1,301万人(2019年比35.2%減)となった。
日本国内における旅行消費額は、34.3兆円(2019年比22.8%増)。
2024年の延べ宿泊者数は6億5,028万人泊(2019年比9.1%増)と過去最高。
日本人延べ宿泊者数は4億8,668万人泊(2019年比1.3%増) 。外国人延べ宿泊者数は1億6,360万人泊(2019年比41.5%増)と過去最高。
客室稼働率は60.5%であり回復傾向。
観光需要が回復する一方、観光関連産業における人材不足や生産性の低さ等、供給面の課題が顕在化。
日本人の国内旅行の活性化に向けて
日本人の国内旅行市場の概況
2024年の日本人国内旅行消費額は約25兆円であり、国内旅行消費額全体(約34兆円)の7割超。
地方部延べ宿泊者数の日本人割合は約9割であり、特に地方部の旅行需要は日本人が下支え。
旅行単価は物価上昇等により増加傾向にあるが、日本人国内延べ旅行者数や旅行経験率は長期的に伸び悩み。
今後は更に人口減少・少子高齢化が進む中、国内交流の拡大に一層取り組む必要。
全体の7割弱を占める観光目的の国内旅行者数は堅調に推移しているが、帰省や出張等目的の回復は緩やか。
観光目的の国内旅行をみると、家族・親族での旅行が約半数。友人との旅行は減少傾向にあり一人旅が増加傾向。
観光目的の国内宿泊旅行の宿泊数は1~2泊が約9割を占め、短期の旅行が大半。
域内や近隣地域等からの旅行が多く、特に北海道、関東、九州への宿泊旅行では、域内居住者が約半数。
国内宿泊旅行経験率は、若年層ほど高く堅調に回復。経験率の低い高齢層の増加は、国内旅行市場全体を押し下げ。
年間旅行回数の変化をみると、全体では旅行に行かない層と多く行く層がともに増加し、旅行実施が二極化。10~20代は実施傾向が高まり、70代では下がっている。
宿泊旅行実施の主なハードルは、20~60代では休暇がとれないことや家計制約、70代以上では健康上の理由等。
10~50代の約6割が主に休日に旅行しており、旅行需要の平準化も課題。
日本人の生活や旅行についての意識
仕事より余暇を重視する割合が増加傾向。自由時間が増えた場合にしたいことは「旅行」が約6割とトップ。
旅行は「時間とお金に余裕がある時にするもの」との回答が最多。「最も大切な趣味」は20代、60~70代で高い。
どの年代も温泉やグルメ目的等の旅行志向が高いが、若年層は他の年代と比べ、趣味のイベント参加、アウトドアの他、現地の人との交流や地域貢献等の旅行意欲が高い。高齢層は温泉や自然、家族の親睦等を志向。
日本人の国内旅行の活性化に向けて
人口減少下での国内交流の拡大に向けては、新たなニーズを踏まえた帰省に近い感覚の旅等の潜在需要の顕在化の他、休暇取得など旅行実施のハードルを下げる取組等により、一人当たり旅行回数の増加や滞在長期化を図る必要。
観光庁では、何度も地域に通う旅、帰る旅やワーケーション・ブレジャー等の普及促進、ユニバーサルツーリズムの推進等を通じ、新たな交流市場の開拓や国内旅行需要の平準化に取り組んでいる。
以下では、各取組により関係人口の増加や地域活性化につなげている地域事例を紹介。
①何度も地域に通う旅、帰る旅等の推進 若者が地域との関わりを求める傾向や、近年の働き方の変化等を踏まえ、従来の観光旅行とは異なる新たな旅のスタイルとして何度も地域に通う旅、帰る旅を推進。各事例では、旅マエ・ナカ・アトの継続的なアプローチや地域課題にともに取り組む「仲間」としての旅行者の受入れ、旅行費用を抑える仕組等により旅行者と地域の持続的な関係を構築し、地域の関係人口を増加。地域の人手不足の課題にも貢献。
②ワーケーション・ブレジャー等の普及促進 休暇取得や同行者との休暇調整にハードルがある現役世代の旅行需要を喚起するには、ワーケーション・ブレジャーの推進が有効。日向市では、参加企業のニーズを踏まえ、官民連携で企業向け研修型ワーケーションに取り組んでおり、(株)キッチハイクは、子供が自然体験等をしながら家族でワーケーションができるプログラムを提供することで、参加者の満足度向上と地域活性化の双方を実現。
③休暇取得・分散化 休暇取得にハードルがあり、休日等に旅行が偏る傾向がある現役世代が旅行しやすい環境づくりとして、休暇取得・休暇分散化が重要。愛知県では、平日に家族での時間が過ごせるよう学校休業日を設定する等、休暇取得・休暇分散化を促進。
④ユニバーサルツーリズム 少子高齢化が進展する中、高齢者・障害者等が安心して旅行できる環境を整備するため、ユニバーサルツーリズムの推進にも一層取り組む必要。伊勢志摩では、個々の状況に応じた旅行プランの提案等によりバリアフリー観光を推進。
令和6年度に講じた施策・令和7年度に講じようとする施策
持続可能な観光地域づくり 観光産業の収益力・生産性を向上させ、地域社会・経済に好循環を生む仕組みづくりを推進
地方を中心としたインバウンド誘客 消費額拡大・地方誘客促進を重視
国内交流拡大 人口減でも国内旅行の実施率向上、滞在長期化を図る
詳しくはこちらでご確認ください ▶ 令和7年版観光白書について(概要版)