観光地域づくりについての指針

観光は、成⻑戦略の柱であり、地域活性化の切り札です。また、旅は生きるための活⼒を生み出し、ワーク・ライフ・バランスの充実にもつながるなど、豊かな国⺠生活に貢献するものです。観光を通じて、地域住⺠が自らの文化や地域への誇りを感じられるとともに、更には国際相互理解の促進にもつながるなど、観光は多面的な意義を持っています。そして今、地域住⺠の幸福や生活の質の向上を実現する持続可能な観光が求められています。

令和5年3月31日に、観光立国推進基本法に基づく「観光立国推進基本計画」が閣議決定されました。「持続可能な観光」、「消費額拡大」、「地⽅誘客促進」の3つをキーワードに、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大の3つの戦略に取り組むこととしています。

地域の魅⼒向上を通じて、旅⾏者・地域住⺠の双⽅の好循環を実現する「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりが求められています。観光地域づくり法⼈「DMO」には、地域の「稼ぐ⼒」を引き出すとともに、地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った、司令塔としての役割が期待されています。

持続可能な観光の推進においては、国内・インバウンド誘客のバランスが重要です。⼈口減少が進む日本において、国内旅⾏者のみをターゲットとすることは、限られた市場における競争となるため持続可能ではありません。インバウンドは、⼀般的に国内旅⾏者よりも滞在期間が⻑く、旅⾏消費単価も高額であるため、インバウンド誘客の促進により地域への経済効果をより高めることができます。また、平日・休日を問わず、季節需要の大きな偏りもなく地域へ来訪するため、観光需要の平準化につながります。

インバウンドが堅調に回復する中、自然、文化、歴史など、限りないポテンシャルを有する地⽅部にインバウンドの大きな流れを呼び込んでいくことが重要です。

コロナ禍を経て、改めて国内交流拡大に取り組む重要性も明らかになりました。近年の働き⽅や住まい⽅のニーズの多様化等も踏まえた、ワーケーション、ブレジャー、マイクロツーリズムなど国内における新たな交流市場を開拓する取組も有効です。

観光地経営とは

観光地経営はとても大事なことです。観光地経営は次のように定義されています。

地域の多様な関係者と、観光地域としてのビジョンや取組の方向性をまとめた観光地経営戦略について合意形成を行い、地域のあらゆる要素を戦略に基づきマネジメントすることで、「住んでよし、訪れてよし」の持続可能な観光地域づくりを推進する活動

観光地経営においては地域の多様な関係者と連携を⾏いながら、地域全体を⼀つの組織と捉えて経営を⾏っていくことが求められます。例えば⺠間企業には、経営管理部門、総務部門、⼈事部門、マーケティング部門、営業部門、開発部門、サービス部門のように異なる役割を持つ様々な部門が存在しており、部門間の職務所掌を明確にしています。企業全体での取組の重複やムダをなくし、効率的に運営を⾏えるようにしています。それと同様に、観光地経営においても地域の多様な関係者がそれぞれどのような役割を果たすのか明らかにして取組を進めることが非常に重要です。


観光庁の「観光地域づくり法人(DMO) による観光地経営ガイドブック」では、DMOが地域住⺠、企業、企業で働く従業員などあらゆる関係者とどのように協⼒しながら、観光地域づくりを進めていく必要があるのか、具体の事例も取り上げながらわかりやすく解説されています。