「令和5年度観光の状況」「令和6年度観光施策」(観光白書)について

令和6年版の観光白書が閣議決定されました。 今回白書では、観光立国推進基本計画に掲げる「インバウンドの地方誘客促進」に着目した分析が行われました。最近の観光動向の分析に加え、地方部における消費動向の分析や地域での取組事例の紹介を通じ、インバウンドの地方誘客の一層の促進や地方部での消費拡大に向けた施策等について報告されています。観光白書は観光立国推進基本法の規定に基づき、観光の状況及び政府が観光立国の実現に関して講じた施策並びに観光に関して講じようとする施策について、毎年国会に報告されているものです。

令和5年 観光の動向

世界の観光の動向、日本の観光の動向、インバウンドの地方誘客と消費拡大に向けて

2023年の世界全体の実質経済成長率は3.2%となった。

各国通貨の対米ドル為替レートの推移をみると、2022年から2023年にかけて日本円、韓国ウォン、タイバーツは通貨安の傾向にあったが、ユーロやオーストラリアドルは通貨高の傾向であった。また、各国の消費者物価指数の動向をみると、消費者物価は総じて上昇傾向にあり、2023年末時点で2019年と比べて約5~20%上昇した。

世界観光機関によると、2022年の外国人旅行者受入数は、日本は383万人で世界42位(アジアで5位)となった。

2022年の各国・地域の国際観光収入は、米国が1,369億ドルで1位となり、スペインが729億ドルで2位、英国が676億ドルで3位となった。日本は92億ドルで26位(アジアで6位)となった。

2022年の各国・地域の国際観光支出は、米国が1,153億ドルで1位となり、中国が1,148億ドルで2位、ドイツが897億ドルで3位となった。日本は45億ドルで43位(アジアで11位)となった。

2023年の世界全体の国際観光客数は12億8,600万人(前年比33.9%増)となった。地域別にみると、欧州を訪れた国際観光客数は7億40万人(前年比17.4%増)、アジア太平洋を訪れた国際観光客数は2億3,340万人(前年比155.1%増)、米州を訪れた国際観光客数は1億9,830万人(前年比26.6%増)となった。

これまで国際観光客数と世界の実質GDPの間には強い相関がみられていた。2020年に国際観光客数が実質GDPに比べて大きく減少した。2022年に引き続き、2023年は、実質GDPの伸びに対して国際観光客数が大きく回復した。

訪日旅行の状況 訪日外国人旅行者数は、2022年6月の外国人観光客の受入再開、同年10月の水際措置の大幅緩和等により徐々に回復しはじめ、2023年に入ってからは東アジアを中心に大きく増加し、同年10月には2019年同月を超え、年間では2,507万人(2019年比21.4%減)となった。

2023年の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場4からの訪日外国人旅行者数が1,949.5 万人となり、全体の77.8%を占めた。 東アジアでは、韓国が695.8万人と主要23市場5のうちで最も多く、台湾(420.2万人)、中国(242.5万人)と続き、全体の62.6%を占めた。 東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場6からの訪日外国人旅行者数が362.8万人となり、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの旅行者数は過去最高を記録した。 北米主要市場7からの訪日外国人旅行者数は247.2万人となり、米国、カナダからの旅行者数は過去最高を記録した。 欧州主要6市場8からの訪日外国人旅行者数は121.3万人となった。 オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は61.3万人となった。 その他の地域では、南米が9.9万人、アフリカが3.8万人。

2023年の訪日外国人旅行消費額は、5兆3,065億円(2019年比10.2%増)と過去最高。国籍・地域別にみると、台湾が最も大きく、次いで中国、韓国、米国、香港の順であった。2019年と比較すると、中国の構成比が低下した一方、韓国や米国等の構成比が上昇した。

2023年の日本人一人当たりの国内宿泊旅行の回数は1.4回、日帰り旅行回数は1.3回、一人当たり宿泊数は2.3泊と、いずれも前年を上回った。

2023年の日本人国内旅行消費額は21.9兆円(2019年比0.1%減)となった。このうち宿泊旅行の国内旅行消費額は17.8兆円(2019年比3.7%増)、日帰り旅行の国内旅行消費額は4.1兆円(2019年比13.8%減)となった。

令和5年度に講じた施策

持続可能な形での観光立国の復活

・持続可能な観光地域づくり 観光地・観光産業の再生・高付加価値化と担い手の確保、観光地域づくり法人(DMO)の体制強化、持続可能な観光地域づくりのための体制整備等の推進、旅行者の安全の確保等

・インバウンド回復 インバウンドの回復に向けた集中的取組、消費拡大に効果の高いコンテンツの整備、地方誘客に効果の高いコンテンツの整備、高付加価値旅行者の誘致促進とMICE・IR整備の推進、インバウンド受入環境の整備、

・国内交流拡大 国内旅行需要の喚起、新たな交流市場の開拓

観光立国の実現に向けた観光施策

・持続可能な観光地域づくり戦略

・インバウンド回復戦略

・国内交流拡大戦略

令和6年度に講じようとする施策

持続可能な観光地域づくり

・地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化

・観光DXの推進

・観光産業の革新

・観光人材の育成・確保

・観光地域づくり法人(DMO)を司令塔とした観光地域づくりの推進

・持続可能な観光地域づくりのための体制整備等の推進

・良好な景観の形成・保全・活用

・持続可能な観光地域づくりに資する各種の取組

・国家戦略特区制度等の活用

・旅行者の安全の確保等

・東日本大震災からの観光復興

・観光に関する統計等の整備・利活用の推進

・令和6年能登半島地震への対応

地方を中心としたインバウンド誘客

・インバウンドの回復に向けた集中的取組

・消費拡大に効果の高いコンテンツの整備

・地方誘客に効果の高いコンテンツの整備

・訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進

・戦略的な訪日プロモーションの実施

・MICEの推進

・IR整備の推進

・インバウンド受入環境の整備

・アウトバウンド・国際相互交流の促進

・国際観光旅客税の活用

国内交流拡大

・国内旅行需要の喚起

・新たな交流市場の開拓

・国内旅行需要の平準化の促進


観光白書 概要版


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