地域の合意形成を支援◆Destination-NEXTを活用した観光地域診断

公益社団法人日本観光振興協会は、多くの観光地域づくり法人(DMO)に共通する課題である「合意形成」を促進支援するために、米国DMO統括団体「Destinations International」と連携して、観光地域診断ツール「DestinationNEXT」(以下「D-NEXT」)を活用したモデル事業を実施します。一般社団法人世界遺産平泉・一関DMO、鴨川観光プラットフォーム株式会社、一般社団法人下呂温泉観光協会、広島県廿日市市を支援することが決定しました。
 

日本観光振興協会が調査結果から地域課題解決につながるポイントを導き出し、図表を含んだ分かりやすいレポートとして提示し、事業の見直しや選定に寄与します。

2020年春からの新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの発生は、私たちの意識や行動様式に大きな影響を与えています。それらに応えるため、世界中の観光産業が、旅のあり方や楽しみ方の提案を見直し、新たなビジネスモデルを構築し始めています。D-NEXTにおいても、afterコロナ期に求められる要素や、より先鋭的になったデジタル化の動きや持続可能性、多様性などトレンドを捉えた見直しを加えて、未来に向けて観光地の状況を診断できるよう、調査内容がアップデートされています。

D-NEXTでは地域関係者(行政、事業者、住民等 以下同様とする)に対しオンラインアンケート調査を行うことにより、観光地としての今後の方向性や観光地や観光推進組織に対する評価を得ることができます。具体的には「観光地域としての強み(Destination Strength)」をあらわす項目と「観光への支援の強さと連携(Community Alignment)」をあらわす項目について、5段階で評価を行う方法です。


「観光地域としての強み(Destination Strength)」をあらわす項目は12項目合計約60問の質問が設定されています。新しい指標「健康と安全」は、コロナ等の感染症を加味した公衆衛生や清潔さ、犯罪などについての意識を問う質問が含まれています。「観光への支援の強さと連携(Community Alignment)」については、コロナ禍で注目された「緊急時対応」「持続可能性と弾力性」、社会情勢の変化に伴う「公平性・多様性・インクルージョン」が含まれた、12項目合計約60問となっております。


特に「観光への支援の強さと連携」にある「持続可能性」は、国の「持続可能な観光ガイドライン」が定められ、導入により具体的に取り組みを始める観光地域も増えていますが、「公平性・多様性・インクルージョン」の理念や考え方は、あまり馴染みがなく、これから理解が進んでいく段階であると思われます。海外では「多様性」はスタンダードであり、デスティネーションD.C(ワシントンDCのDMO)が多様性を地域の魅力として、掲げています。

【評価項目】
以下は「観光地域としての強み」を表わす12項目と「観光への支援の強さと連携」を表わす12項目です。2021年調査から新しく追加となった項目に〇印をつけています。

アンケート調査の結果から、地域の関係者が観光地としての魅力をどの程度評価しているか、観光に対する支援や地域内の連携をどのように捉えているか可視化されるので、相違点や問題点などが明らかになります。


D-NEXTによる観光地域診断の結果は、以下のようなレポートで報告されます。

結果を受け、実施地域では、評価の低い項目につながる事業内容の見直しや、評価の高い項目に関わる事業をより重要視して推進する、新しい事業を前倒しで行うなど、具体的な事業活動に反映しています。

(1)シナリオモデル Scenario Model
「観光地域の強み」と「地域の連携」の2軸から診断され、自地域の現在地が可視化される。ステークホルダー別や地域別にも提示される。

(2)重要度と現状評価
現状評価の高い変数と高いステートメント、低い変数と低いステートメント。項目を比較し、どの項目(変数)のどういった質問(ステートメント)にギャップが生じているか把握できる。

12項目別重要度と現状評価:ステークホルダー別・エリア別各項目がどの程度重要視され、評価されているか可視化される。

質問項目別スコア 各質問に対する評価。

(3)改善点の提示 全体の結果の要約とアドバイス等。


【日本観光振興協会による分析】
(1)観光カルテによる地域の現状分析

(2)重要度・現状評価について

(3)観光地域としての強みの評価

(4)強みの現状評価


☞ 現在、アンケートを実施中です。こちらのページでご確認ください。